私が野鳥に興味を持ったきっかけはカワセミです。
ある場所で偶然見たのですが、その美しさと水に飛び込んで餌を取る習性、スピードに魅了されました。水中から、どうやってあの推進力を得ているのでしょう。住吉川にも来ると言うことを知り、2017年頃から住吉川探索を始めたのでした。

カワセミとはどんな鳥か。

カワセミというと清流というイメージがあったのですが、こんな街の川にも来ることを知りました。調べていると、餌さえ採れればホントの街中のどぶ川みたいなところや公園の池にも来るようです。こんなに美しい鳥が身近に居ることに驚きました。

図鑑などで調べると、カワセミは全国にいるようです。スズメくらいの小さな鳥なので、木や葉っぱと混じって分かりにくかったりしますが、飛ぶとキラキラ輝くのですぐに分かります。オスとメスでは全体の色は同じですが、メスはくちばしの下が赤っぽい色をしています。

面白いのは、水に飛び込んで魚などを採って飲み込むのですが、結構大きな魚も飲み込んでしまいます。採った餌はくちばしでくわえたまま、枝などにたたきつけて気絶させて、飲み込みますがその様子もとても愛嬌があります。カワセミの仲間には、ヤマセミ、アカショウビンなどがいますが、見れる場所は限られているようです。子供の頃にNHKのみんなの歌などで聞いた「ワライカワセミ」もカワセミの仲間ですが、もっと大きくオーストラリアに生息するそうです。日本でも動物園などにはいます。

背中のブルーの色が宝石のように輝いてとても美しいのですが、これは羽根がこの色なのではなく、構造色と言って光りによって、ブルーにも少しグリーンがかったりするようです。昔から翡翠と呼ばれ”空飛ぶ宝石”と言われている事もうなづけます。古くは源氏物語にもその記述があるようです。翡翠という宝石は、カワセミから名前をもらったそうです。

カワセミを撮ると言うこと

美しく面白く興味が尽きないカワセミですが、動きが素早く、特徴的な餌の捕獲を写真に撮るには、かなりの経験とノウハウが必要という気がします。長年野鳥の写真を撮っている人の中には「野鳥を撮るということと、カワセミを撮るのは別世界だ」と言う方もおられます。

廣瀬博さんというカメラマンが20年以上カワセミ(と関連種)をとりつづけた写真集。新書版のサイズではもったいないくらいの素晴らしい写真がつまっています。素人が暇に任せて撮ったのとは次元が違います。しかも、フィルムカメラの時代から。ブローニーで撮っておられる。どれだけのフィルムがムダになったことか。その執念がすごい。その甲斐あってというか、執念の賜物の迫力ある写真。同時にカワセミに関する情報もたくさん載っています。(株式会社コスミック出版 ¥1800)

周辺のトピックス

皇室の紀宮清子親王(黒田清子さん)は、山階鳥類研究所でカワセミを研究されているそうです。宮内庁職員文化祭に「川瀬美子(カワセミコ)」という名前で手芸作品を出品されたことがあるほど思い入れが深いのだとか。JRののぞみ500系のデザインはカワセミが水に飛び込む姿をヒントに開発されたとか。オリンピックの水着にもそういうものがあるらしいです。

源氏物語にカワセミの記述がでてくるのは有名ですが、宮沢賢治の小説「やまなし」にも、水中にカワセミが飛び込んで一瞬にして魚を持ち去る様子を見たカニの親子の会話があるそうです。
この本にはカワセミの中まであるヤマセミやアカショウビン(ショウビンというのは古語でカワセミという意味だそう)の素晴らしい写真も掲載されています。

とにかく、その美しさ愛らしさと、それに似合わないような俊敏な捕獲行動、本当に不思議な魅力満載の鳥です。それが、僻地ではなく、身近な川で見られるというのも面白い。住吉川でも川に飛び込んで得た魚を飲み込み、しばし消化する間茂みにかくれてじっとしている姿や上流で、高い枝から滝壺に飛び込んで枝に戻る姿を見ることができます(未だ撮ることができていない)。その一瞬の出来事が、マジックのような不思議な感覚に包まれます。