野鳥をちゃんと撮り始めて約2年経ちました。頻繁に行っているわけではないのですが、それなりに知見ができてきましたので、大した機材ではありませんが何かの参考になればと思い機材や所感をご紹介します。仕事柄、プロのカメラマンの友人もいるので、彼らに教えてもらった知見で実践していることもあります。
人気の野鳥スポットに行くと、コンデジで撮られている方から、プロでも持っていないようなすごい機材で撮られている方まで様々ですが、良し悪しというのはないと思います。それぞれ求める写真のタイプや精度が違うと思いますし、アマチュアは、自分の求める写真が撮れたら楽しいので、自分が満足すればそれで良いものだと思います。
ただアマチュアの場合、本格派の機材を使うこと自体が楽しいと言うこともあると思いますので予算が許せば良いモノを買うに越したことはないと思います。カメラ機材は、高額なほど性能が良く「値段はただ取らん」ものだと思います。私の場合は、「本格派の機材を使う楽しみ」というものはいっさい無く、自分に必要な機能と性能を過不足なくいかに合理的に揃えるかという風に考えているので、そう言う面で参考にして頂けるかも知れません。
ただ、カワセミというのはかなりハードルが高い鳥ではないでしょうか。小さくて動きが速く、じっとしていていきなり飛ぶので、飛ぶ予兆がつかめません。私の場合、基本的には、住吉川という限られた場所で撮るだけなので、なかなかチャンスも少なく、思うように撮れないのが現状です。また、後述しますがカワセミを撮るには、ある程度の機材が必要であることも分かりました。他のカワセミスポットに通えば、精度は上がるのでしょうが、それでは面白くないので、”身近な川”にこだわっています(たまに他の場所にも行きますけど 笑)
写真の経験
写真自体は、中高生の頃に鉄道を撮っていました(今も撮ってますが)。その頃は、コダックのTRY-X100フィート缶を買ってきて自分でパトローネに詰め、ミノルタSRT101で撮ったものを自分で現像焼き付けをしていました。写真部とかではありませんでしたが、自分で何でもやってみたい性格なのでやっていました。
その時代は、当然フィルムですし、AFなどもありませんので、TTL測光以外はすべてマニュアルです。現像してみないとちゃんと撮れているかどうかが分からない時代だったので、試行錯誤やっていました。
ですので、写真を撮るということ自体はその頃に感覚というか間尺ができていたのではないかという気がします。とはいえ、何十年もやっていなかったので、デジタルになってカメラの操作自体は激変し、使いこなせてはいません。未だに知らない機能があったりします。
機材
●カメラ
Nikon D500 /D5600
●レンズ
Nikon DX AF-S NIKKOR 55-300mm 1:4.5-5.6 GEO
Nikon VR AF-S NIKKOR 200-500mm 1:5.6E ED
●三脚・一脚
K&F Concept S254
CHIHEISENN コンパクトトラベル三脚
ETSUMI アスリートMP-1(一脚)
カメラ
現在は、主に静止画をD500で撮り、動画をD5600で撮ることが多いですが、どちらも静止画、動画に使っています。静止画はRAWで撮っています。D500はデジタル一眼APS-Cの最上級機、D5600は初級クラスの最上機種という位置づけでしょうか。ニコンはデジタル一眼の製造をやめたそうなので、これからはミラーレス(ニコンだけではなく)に移行していくのでしょう。ニコンを使っているのは、たまたま身内がニコンを持っていて、十数年前にD5000を買ったので、そのレンズが使えるという単純な理由です。
最初はD5600で撮っていましたが、飛び込むカワセミ(飛ぶ鳥も)を撮る場合、D5600の連写性能では間に合いません。連写機能には落とし穴があり、通常1秒に何コマということだけを見がちですが、バッファー(データを一時的にためる場所)のサイズが問題なのです。JPGで撮るならまだましですが、RAWで撮るとD5600はバッファーサイズが小さいので、途中でシャッターが切れなくなります。D500ならそういうことは起こりません。連続で1分間でもシャッターを切ることが出来ます。また、1秒間にとれる枚数も違います。カワセミのように動きの速い鳥は、この連写性能がないとなかなか思うように撮れません。この点が大きいのでD500を使っていますが、もちろん解像度その他、グレードが高い分、高性能です。カメラは高いだけ値打ちがあるとは思います。
しかし、D5600も非常に良いカメラだと思います。動きの速い場面を撮らないなら充分だと思います。
なにしろ、めちゃくちゃ軽いです。ただ、超望遠を使う場合、カメラ本体よりレンズの重さの方が断然大きいので、あまりメリットはないですが、普段使いの写真にはD5600は抜群に良いです。35mmの単焦点レンズを付けると、もうコンパクトデジカメかと思うくらい軽く、しかし、ちゃんとした撮影が出来ます。それにグリップ感もとても持ちやすいです。私は、鉄道も撮りますが、用事のついでに撮ったりするときや街歩きで撮るときなどはD5600を持っていきます。
このサイトに載せている写真には、D5600で撮ったものもたくさんありますが、これくらいのサイズでは差は分からないと思います。(一部、古いD5000で撮った写真もあり、多少解像度の差がある写真があります)
D500は、ミラーレス以前のニコンのAPS-Cの最上級機種ですが、フルサイズに比べてAPS-Cは、野鳥撮影には非常にメリットがあると思います。焦点距離が、フルサイズ換算すると1.5倍になるので、500mmのレンズをつけると実質750mmになります。さらにD500には、受光版を小さく使って1.3倍に拡大するクロップ機能があるので、それを使うと1.95倍、つまり約2倍になります。500mmのレンズなら975mmになります。
1000mmのレンズは効果ですし、重くて持ち歩くのも大変です。D500+500mmは、手持ちでも撮影可能な重さなので、その機動力は抜群です。D500は、受光版が大きいのでクロップ機能を使っても、よほどトリミング(あるいは拡大)しない限り解像度は気になりません。D500と200-500mmの組み合わせは野鳥撮影には最強だという専門家もいます(2023年5月時点では、D500と同ポジションのミラーレス機は出ていない)。ただ、200-500mmmのレンズは重いのが難点です。
フルサイズカメラは、もちろん受光版が大きいのでトリミングする場合などに有利ですが、反面、重いレンズを付けないと焦点距離を稼ぐことが出来ません。機材も高価になります。機材が重くなるのもデメリットです。
カメラに関しては、高いほど高性能なので、予算が許せばハイグレードな物を買うに越したことはありませんが、D500は、フルサイズと比べても遜色のない画質だと思いますし、先ほどのメリットなどを勘案すると、十分だと思っています。以前、プロの写真家の方のブログにも「フルサイズカメラも持っているが、野鳥はD500で撮っている」ということが書いてありました(ちなみに2022年3月現在ニコンのミラーレスのラインアップには、D500に相当するモデルがありません)。
ちなみにいつもはJPG+RAWで撮っています。JPGはエコノミーサイズでとりあえず確認するためとスマホに転送したい時もあるので撮っています(Nikonのスマホ連動アプリはRAWは転送できない)。選んだ写真はRAWで現像します。
RAWの現像はMac環境でAdobeのLightroom Classic。以前はニコンのソフトで行っていましたがMacのOSを新しくしたら使えなくなってそれからLightroom Classicにしました。
ストラップについて
両方のカメラとも、ストラップはハクバの速射ストラップを付けています。これは、ワンタッチで長さが変わるので、斜めがけからすぐに撮影体制にも入れます。安価ですがとても使いやすいです。超望遠レンズなどでは、レンズの足に速射ストラップを付けるタイプもあり、手持ちではその方が安定すると思いますが、いちいち付け直さないといけないようなので不便な上、私は鉄道の撮影もするので、(鉄道では基本的に超望遠は使いませんが)カメラの方につけるタイプにしています。
Amazonのレビューを見ていると、1万以上する速射ストラップを使っていた人もこっちの方が使いやすいと書いていました。実際、不便を感じたことはありません。いずれにしても純正のストラップは、短いし長さが固定なので何かと使い勝手が悪いと思います。
レンズについて
50-300mmのズームは元々鉄道を撮るために持っていたので、最初はそれを使っていましたが、やはり野鳥、とくに小鳥、ましてやカワセミを撮るには不足を感じ、最初はサードパーティのレンズを買いました。
ただ半年くらいいろいろ試して撮りましたが、どうも納得がいかず、ネットで素晴らしい野鳥を撮られている人達の機材情報を見て純正の200-500mmズームを買いました。やはり純正の相性は良いようで、サードパーティのレンズとの価格差以上の性能差を感じます。解像度も素晴らしいですが、AFのスピードは純正ならではのものかも知れません。
しかし、その代わりなのかどうか分かりませんが重いです。レンズだけで2Kg以上あるので、これを持って山を歩くのはかなり体力が必要です。また、荷造りにも苦労しています。附属していたケースだと不安だったので、サードパーティの丈夫そうなクッションケースを買いましたが、それに入れると結構な大きさになってしまい、リュックの中を占領します。
結果、キルティング生地で自作しましたが、使い勝手はイマイチです(笑)
でもまあ、基本的には散歩に行って撮るのがほとんどなので、大袈裟な荷造りは不要だし、歩く距離もしれているので、大きな問題とはなっていません。
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その後、ハクバのバッグを買いました。これは良くできていて、500mmのレンズをつけたまま収納できます。仕切りを変えると、また別の収納ができます。
テレコンバーターについては、以前はkenkoの×1.4をたまに使っていましたが、やはり露出の面で不利だし、AFが遅くなるので今は使っていません。ニコン純正のテレコンは、使えるレンズが限られるので買ったものの当時持っていたレンズに使えず手放してしまいました。
三脚・一脚
野鳥撮影は基本的に手持ちの方が撮りやすいと思いますし、昔と違って手ブレ補正機能があるので望遠でも手持ちで充分撮れます。しかし私の使っている200-500mmは重い!そのため三脚や一脚は必要になります。
三脚は実は鉄道時代からいくつか持っていますが、外に出て撮影するときはできる限り軽くてコンパクトになるモノを使っています。
アマゾンで見つけたK&Fというメーカー(よく知らない)のこの三脚は、D500+500mmには少し頼りないクラスなのですが、私の野鳥撮りにおける三脚のスタンスは「手持ちの補助」程度に思っているので充分です。
この三脚は軽いですがとてもしっかりしています。折りたたむと短くなるので、大きなリュックなどには入ってしまいます(1本だけ切り離して一脚としても使える仕組みになっています)。
一脚や手持ちの場合もありますが、場所を決めて待っていたり、カワセミなどの飛び待ちで長時間待つ場合は手持ちは無理です。また動画には絶対三脚が必要です。ですので、安定性と軽さのバランスの良いところで選んでいます。
もう1本さらに軽くて小さい三脚をD5600の動画用にしています。たったの750gしかないので、K&Fの三脚と2本持ち歩いても苦になりません。雲台が少し頼りなかったので、雲台だけ違うものを付けています。この三脚は、ちょっとしたお出かけの時にも重宝します。D5600+300mmくらいでも何とか大丈夫です。ただし風の通良い日はぶれます(笑) そのときは動画は諦めます。とにかく軽いのが一番。両方ともアルカスイスタイプです。とにかく、歩き回って撮影するのに重い機材はとても負担になります。これらの機材は鉄道撮影でも使うので、それも勘案して選んでいます。
また、カメラ一台の時は一脚もよく使います。山道を歩くときにはトレッキングポール代わりにもなるので重宝します。大昔に子供たちを撮るビデオカメラのために買ったもの(エツミのMP-1)ですが、長くて軽くてしっかりしていて今でも現役です。これにアルカスイスタイプの自由雲台をつけています。
三脚は、重さと安定性が比例しますので、カーボンがいくら軽くてしっかりしているといっても、重くて大きい三脚の安定性にはかないません。また、脚が軽くても雲台が重ければ重心が上になるので逆に安定性は悪くなります。という理屈になりますが、脚が大きく開けば安定性は上がります。しかし、重くて大きな三脚は、携帯性は悪くなります。という相反する要素のせめぎ合いのほどよいところで考えています。
その他の機材
■照準器
余り使いませんが、サバイバルゲーム用の安いものに位置修正がしやすいようにパーツを組み合わせたものを使っています。最初は使い方がよく分かりませんでしたが、よく動く鳥にはすぐに追いついていけるので便利ですね。
■カモフラージュ
鳥から身を隠すために(笑)、カモフラージュ柄のシャツを着たり、カメラにカモフラの布を被せたりしたりもしますが、鳥は目が良いので、その程度ではほとんど効果はないんじゃないかという気がします(笑)
■虫除け
虫除けには、ハッカ液を作ってもって行っています。良い匂いがします。
また、オニヤンマのダミーを買ってみました。これを帽子などに付けておくと、ハチやアブ、その他オニヤンマの餌になるような虫が、オニヤンマに食われると思って寄ってこないそうです(笑) まだ使っていませんが効果があるのかないのか楽しみです(笑)
■椅子
待っているときに背を低くしていた方が良いのではないかと感じるときがあります。また、下がぬれていてレジャーシートを敷いても座れないときなどに小さな椅子があれば良いなあと思っていたら、ロゴスからこんなのが出ていました。
携帯用の折りたたみ椅子。畳むとペットボトルくらいになり、とても軽いのでリュックにぶらさげることもできます。もちろん小さいですが、座って休んだり撮り待ちするには充分です。
■ポンチョ
雨具としてポンチョはとても便利です。リュックとカメラまるごとカバーできてすぐに撮ることもできます。ただ雨の日に撮りに行くことはまずありませんが。
■バッテリー
泊まりで行くときなど、あるいはキャンプ泊などでは、電源に困ります。このモバイルバッテリーは、災害用なので大容量。カメラのバッテリーも充電でき、ライトにもなります。また、充電も早いです。
■水筒
200cc程度が入る保温水筒です。ペットボトルは別に持つとして、冷たい飲み物や温かい飲み物を自販機で買い、これに移して持ち歩いています。寒い時期に六甲山中で温かいコーヒーを飲むのは至福の時です。
■携帯長靴
川の水量が増えて渡れないときがあるので買いました。そこそこかさばりますが折りたためてリュックで携帯できます。
■カメララップ
こういう商品があるんですね。買ってみたら意外と便利に使えます。日よけ、カモフラにもなり、内側がシリコンになっていてフィルターなどのガラス面拭きにも使えます。嵩張らないし1枚入れておくと便利です。普段でもバッグの中にカメラを入れていくときに使えたりします。
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D5600:このカメラは、「お値段以上」だと思います。軽くて高性能。カワセミの飛び込みを撮りたいと思わなければ野鳥撮影にも充分だと思います。
時代はミラーレス。これから新たに買われるならミラーレスが良いと思います。
200-500 mmズーム:このクラスとしては手頃な価格ですが、素晴らしいレンズだと思います。コスパ高いと思います。ただし、少々重いです。
K&Fの三脚:たたむと大きめのバッグに入るくらいのサイズになり、重さもそんなに重くない割にしっかりしています。一脚に変身したりします。使ったことはありませんが。500mmにはちょっと頼りない感じですが「手持ちよりまし」のスタンスなら全然OKです。このメーカーは、良い商品を作っていると思います。
50-300mmズーム:小鳥はちょっとしんどいでしょうけど、カルガモやサギのような大きな鳥なら全然OKです。手持ちで充分に撮れます。
多少頼りないですが、D5600+300mmくらいだとギリギリいけるかなという感じです。とにかく小さく軽いので横で動画を撮るにはちょうど良いです。
コンデジタイプ:私は持っていませんが、このタイプで撮っておられる方もよく見かけます。コンデジタイプのカメラはとにかく軽いのがよいです。それでいて超高倍率。それに安価。
ただ、ズームの速さや画像の解像度はデジタル一眼には及びません(そもそも受光版のサイズが違います)。そのあたりは、どこで満足するかによると思います。
こういった「ネオ一眼」もコストパフォーマンスに優れていると思います。コンデジとデジタル一眼の中間のようなタイプです。